家族などで手分けして最適な老人ホームを探し、手頃な価格で好条件の施設が見つかった場合、入居のための準備が必要です。
以下の画像リンクは、弊社が入居希望者さんやご家族に渡している「入居時必要リスト」のPDFファイルになります。
この老人ホーム入居時の必要リストについて、必要となる根拠・意味を解説します。
(なお、この必要リストにある書類は、日本全国どこのホームでも必要です。参考までにダウンロードしてご利用下さい)
老人ホーム入居前に提出する書類
入居前(施設の受入れ準備のため一週間前まで)に『必ず』提出する書類は以下のとおりです。
診療情報提供書
必要な医療行為や処方薬を確認するため、担当医に作成依頼する。
介護サマリー
在宅介護を受けてる人、ケアマネさんか地域包括支援センターの相談員さんに作成依頼。
看護サマリー
病院に入院中の人、医療連携室か担当看護師に相談。入院中のADL等を記す書類。
PCR陰性証明書・ワクチン接種証明書
コロナパンデミックの終息宣言をマスコミが行い、世間では「もうコロナウィルスは大したことない」という楽観ムードが蔓延し、電車内でマスクをする人が肩身が狭くなってきました。
しかし未だにコロナ感染はひんぱんであり、症状もさほど弱くなったわけでもなく、高齢者が罹患すると重症化する可能性があります。
なので、ほとんどのちゃんとした施設は、職員さんは真夏でもマスクをしているし、外来の見舞客などには検温を義務づけています。
そして、入居する側の良識も問われます。
入居時には、必ずPCR検査、そして今までのワクチン接種証明が必ず必要です。
介護認定証
要介護度の記されている介護認定証が必要。紛失した場合は、役所から代替となる何らかの証明書などを発行してもらう必要があります。これをもって、施設の介護士・ケアマネが当地の市役所に行き引継ぎの手続きをします。
後期高齢者保険証
保険証は23区内の区ごとに対応が変わり、他の自治体に転出する場合、保険証を区に返還することになっていることもあります。
年金手帳
年金手帳はあれば持っていきます。年金手帳を必要とするケースは、都内にしかない葛飾信金とか城南信金に年金口座を開いている人が地方の老人ホームに入居したさい不便なので、地元信金・銀行やゆうちょ銀行に口座を移転する場合等です。
ただ、紛失してしまった場合、再交付はできない代わりに、基礎年金番号通知書を交付してもらい手帳に代えて使用できます。
年金口座通帳・キャッシュカード・銀行印
年金受給のための講座としている金融機関の通帳とキャッシュカード、銀行印が必ず必要です。
入居時になって、土壇場で「これらは紛失して今はない」と言ったりする家族、自分たち側でこれを預かる等と主張する家族などはあとあと支払い不履行を起こしたりするトラブル要因として、老人ホーム側は断ることができます。
老人ホームを安易な姥捨て山としてタダで利用しても大丈夫だろうという家族は少なくなく、それを拒否する権利は当然老人ホーム側にもあります。
よって、順当に入居手続きをすすめたければ、年金口座通帳・キャッシュカード・銀行印は必ず持参して入居することが必須です。
月額利用料前払い分
入居する高齢者ご本人または家族は、施設の1カ月分の月額利用料(家賃・食費・管理費など)を前払い分として用意するのが一般的です。ホームによってはこの費用を後払いでいいところもありますが、ほとんどの施設は前払いであり、また入所金や敷金を徴収する施設もあります。
キーパーソン(親族等)の身分証・名刺
身元引受人やキーパーソン(親族等)は、多くの場合、入居日に荷物などの搬入の他、契約当事者として老人ホームに行く必要があります。
その際、身分証や名刺がなければホーム側はどこの誰が入居者に同行して契約書類にサインしているのかさっぱり分かりません。
個人が貸借契約を結ぶ際は、不動産を借りる時でもお金を借りる時でも身分証なしではできませんし、その保証人にも身分証が必要なのと同様、老人ホーム入居のさいも契約当事者の身分証明が必要になります。
転出証明書
転出証明書は、入居前後に区役所に行き取得します。転出証明の有効期限は前後7日間と言われていますが、契約当日までに郵送しておくか、入居日および契約当日には転出届けを用意しておくことが必要です。その転出証をホーム側に渡せば、後はホーム側が市役所に「転入届」を出します。
多忙やトラブル発生などが原因であれば入居後にホーム宛に郵送でも大丈夫ですが、それを許すと転出届を取りに行くのを面倒がる家族やキーパーソンがいることをホーム側も知っているので、入居当日に転出証を用意できてないと、入居を断るホームもあります。
(キーパーソンが動いてくれないと群馬や栃木、茨城からわざわざ東京都内まで転出届だけ取りに行くという不本意な仕事をしないといけない=こんな関係者は入居後に必ずトラブルになるので、回避したい、というホーム側の当然の判断です)
ホームで必要な衣類・家財・日用品、その他
以下は、老人ホーム入居のさいに必要となる衣類その他の大まかな分類と数字です。
室内に大きなクローゼットがある部屋や相部屋などその形状によって、持ち込む私物の調整をします。
ほとんどの老人ホームでは、入居前に衣類や私物にマジックで名前を書いておくように指示があります。
特に衣類やタオルは、名前を書かないと洗濯時に混乱することがあり、職員さんに迷惑なので記名は必須です。
衣服やタオル
- 衣類
下着:上下5枚 / 靴下:5組 / パジャマ(またはスウェット)上下:1~2組 / 普段着:3~5着 / レジャー時の外出用のおしゃれ服:2枚 - タオル類
フェイスタオル5枚 / 普通サイズタオル5枚 / バスタオル4枚
室内シューズ
室内介護用シューズは専門店だと高額であり、類似品がホームセンターやドンキホーテに行けば、1~2千円で買えるので、それで代用可能。
スニーカーでもOK(マジックテープがベストだがスリッポンでも可。ヒモグツは転倒リスクがあるので不可)。スリッパは転倒するので、どこのホームでも「禁止」です。
ベッド
介護付き有料老人ホームや特養はベッド代が月額に含まれているので、買わなくて大丈夫。
住宅型ホーム、サ高住、ケアハウス(軽費老人ホーム)はベッドを持ち込むべきケースが多い。
簡易ベッド(通販で7~8千円)などをホームセンターやドンキホーテで買えばこと足りる。
要介護認定を受けていれば、月1〜300円くらいで電動ベッドをレンタルできる。
自立の人向けに月1,000円くらいで貸し出しているホームもあり。
シーツや布団
布団は、「環境がガラリと変わるとボケるから今まで使っていたものを使う方が良い」という理屈もあるが、基本的には買い換えて、新しいものを入居する老人ホームに宅配便などで届ける方が、本人のため。シーツ・布団カバーは2枚づつ。
失禁のことを考え、防水シーツも2枚程度は準備。防水シーツはドンキ、ニトリ、カインズホームが安い。
衣類ケース
ニトリの3段クリアケースが便利(2,980円くらい)。ビバホームやコーナン、ドイトやケイヨー、島忠、ロイヤルなど都内のホームセンターである程度(布団その他も)まとめて買って、送料無料でホームに送ってもらう、という入居者ご家族が多いです。
使用後の洗濯モノ入れ
老人ホームでは、使用後の衣類などは各入居者の個室の洗濯物入れに入れておいたものを職員が集めて、名前入りの洗濯ネットに入れて洗濯・乾燥させて、本人に返します。なので、100均で売っているプラスチックカゴなどを洗濯物入れとして持ち込む。
テレビ・ラジオ(+ヘッドフォン)
自室用のテレビはそのホームの個室の広さにもよるが、あまり大型のモノは将来に耳が悪くなってから大音量で使用したりして隣室とトラブルになる可能性もある。また、入居者本人が死亡後の荷物の整理にも支障をきたすので、32~40インチ程度までのサイズに抑えること。
ラジオは電池交換は割高なので、コンセントが付いているものの方が楽。
テレビでもラジオでも、必ず、〝ヘッドフォン(コード1.5m以上)〟を用意すること。
毎日のケア用品
洗面用具(歯ブラシ、歯磨粉、コップ) / 耳かき・つめ切り / よく使うシャンプー等 / 常備薬とお薬手帳 / 老眼鏡 / 杖 / 入れ歯とそのケース / ティッシュペーパー / 電動シェーバー(ホームによっては剃刀は危険なので禁止のことが多い)
痴ほう予防のための日用品
時計(時間認識) / 筆記用具(メモぐせをつける) / カレンダー(年月認識) / くしや鏡、化粧品(おしゃれを忘れさせないため)
必要リストのまとめとして
老人ホームに親が入居すると、ほとんどの家族は、入居翌月に一度面会にきて、それが次は2~3カ月後になり、半年に一度になり、年に一度の面会になり、と徐々に足が遠のきます。
家族にも仕事、そして「自分の家族のこと」でなかなか時間が取れなくなるのは仕方ないことです。
なので、せめて老人ホームに入れて一段落する時には、親がホームで肩身の狭い思いをしないように、キレイな私服やパジャマを余分に買ってあげたり、安くてもいいので新品の室内シューズを買ってあげたりした方がよいでしょう。