デイサービス共同送迎(ライドシェア)

( 参考:NHKニュースー『滋賀 野洲 介護施設の共同送迎始まる』 )

能登半島地震以降メディアに露出することが多くなった野洲市で、新しく「デイサービス共同送迎」という試みをスタートさせたそうです。

デイサービス共同送迎は、資本関係もなければグループ会社でもない独立したデイサービス同士で、利用者の送迎を1台の介護車両とドライバーを使って、「ライドシェア」することを意味します。
シェアとは、「仕事でもモノでも共同で分け合って負担を軽くする」ことであり、その意味では、この取り組みこそがほんとの意味のライドシェアといえます。

2000年代アメリカから始まったシェアリングエコノミーの流行で一番儲けたUberが日本に持ち込み日本政府が規定キーワードにしてしまった「ライドシェア」は、誰とも何もシェアしあっていません。

本来の意味のライドシェアは、広大なアメリカを車で旅行するさいにインターネットを通じて個人対個人でダッジのような大型バンとドライバーと乗員がつどい、ガソリン代とか宿泊費をシェアしあって経費を安くするというもの。「相乗り」が、ほんとのライド・シェアです。
日本でもこの相乗り型ライドシェアを始めた企業がありましたが、これは赤の他人同士が初めて会って一つの車の中で関係しあうことからトラブルも多く、せっかくいいサービスなのに日米ともに定着しませんでした。
代わりに誰とも何もシェアしていない合法の白タク行為を、政府がライドシェアと太鼓判を押してしまったわけです。

野洲市のやろうとしているデイサービス共同送迎は、まさにホントのライドシェアそのものです。
自治体がこれをやるならば、上手くいくだろうし、全国的に広まれば介護人材不足解消の一助になるでしょう。

これを民間の介護会社同士と介護タクシー会社とでやろうとすると難しい面が多々あります。
東京都内からの入居者を紹介する先の群馬や茨城の老人ホームの多くは、関連施設としてデイサービスを持っていて、地元の高齢者を受入れミニバンで送迎をしています。

それら老人ホームの社長さん達と世間話をするさい、以前から「送迎はアウトソーシングできないのか?」とか「他社と送迎のライドシェアをすれば安く上がるんじゃないか?」ということが疑問で、皆さんに意見を伺っていました。

しかし皆さん意見は同じで、「アウトソーシングはトラブルの責任所在があやふやになるし、ライドシェアは送迎車両やドライバーの所属をまかせっきりにできるほど信用できる他の老人ホームやデイサービスはない。きっと失敗する」と否定的な意見でした。

しかし、これは民間の介護施設同士で考えるからで、幹事として行政とか行政寄りの第三者的な社会福祉法人が幹事をするのなら、介護施設同士でライドシェアはあり得ないと考えている社長さん達も安心するでしょう。

( 参考:野洲市公式HPー『通所介護施設共同送迎・高齢者移動支援モデル事業の実証実験を実施します』 )

その野洲市のプレスリリースに掲載されていた実証実験のうち、ライドシェア以外にも目新しい取り組みが公表されていました。

実証2:昼間帯の遊休車両を活用した買い物移動支援

市内にお住まいで買い物に行くことが困難な高齢者に対し、国土交通大臣認定講習を受けたボランティアドライバー「つれだし隊」が送迎用の遊休車両を活用した買い物移動支援モデル事業を実施します。本モデル事業の参加者を募集します。

「昼時間帯の送迎用の遊休車両を活用」というのが、野洲市の行政の無駄をなくそうという真剣な取り組みに感じます。