中国重慶市で11月1~3日、第18回中国老年産業博覧会が開催されました。
重慶市は「上海市」と同じ、上位自治体に「省」がない国の「直轄市」という地位があり、東京都民の倍以上の人民が住む世界一人口の多い市です。
日本でも、事前に中小企業基盤整備機構(中小機構/J-Net21)などで参加企業を募っていたため、介護用品や高齢者施設の運営を手掛ける日本企業も多数出展したようです。
中国高齢協会の調査では在宅ケアを選択する高齢者が87.3%もいる中国においては、老人ホームシステムの紹介よりも、アサヒシューズのケアシューズなど自宅で過ごすための商品紹介のブースに人気が集まったようです。
実際、10数年前に介護付〜住宅型有料老人ホームを展開する日本企業の多くが中国市場に参戦しましたが、ほとんどの企業は撤退したようで、施設入居には魅力を感じないお国柄なのかもしれません。
ちなみに中国の老人ホームをネットでチェックしていると、「青年向け老人ホーム『青年養老院』に若者が癒しを求め集まっている」等という意味不明な記事があがってきます。
中には、「疲れた若者がシニアとのコミュニケーションに癒しを求めて青年養老院に‥‥」と取材をしてきたかのように書いているものもあります。
先日「老年大学」について記しましたが、高齢者専門の大学があるのだから、青年用の老人ホームもあるのかなとも思いました。
しかし、「青年専用だったら老人ホームじゃないだろう?」とシンプルに疑問を持って更に調べてみると、青年養老院は単に「田舎のシェアハウスで『養老』とは老人のことではなく『養老の滝みたいな若返りの水』のニュアンスで使っているようです。
ネット情報はパッと見で信じるとエライことになるなと感じます。
ちなみに、重慶市は60歳以上の高齢者が700万人もいる巨大な介護マーケットであり、先進的な福祉ビジネスが行政主導で行われています。
最近も移動入浴支援センターを市内だけで400ヶ所も開設し、シニアの入浴介助を始めています。
日本の入浴車・移動式お風呂カーは、わりと介護度の高い人向けですが、重慶の場合、要介護度の軽いお年寄りも気軽に利用できます。
また、その大型車両の中に床屋・美容理容などのサービスも兼ね備えている点も異なります。