東京都市部・多摩地区の高齢化

東村山市の都営団地で東京都と住宅公社、都立病院機構の共催で市民対象に認知症対策講座が開かれたと都庁公式サイト・とちょうダイアリーで紹介されていました。

西武線と共に発展してきた東村山市には、講座の開かれた萩山団地の他に久米川団地・小川団地・富士見台団地・南台団地という団地群があります。
〝西武新宿特快で新宿区高田馬場駅まで20分〟を売りに発展しましたが、最近は高齢化と空室率が目立ちます。

よく似た市名の「武蔵村山市」というのも東大和市を挟んで存在します。
東村山市といえば志村けんさん、武蔵村山市といえばお笑い芸人で現西東京市議会議員の長井秀和さんが出身著名人として有名です。

武蔵村山市にも60年近く前に作られた東京都最大の都営団地、都営村山団地があります。ここも今は高齢化率が50%を越えています。
交通網が充実した東京都内23区より、西武線だのみの東村山・武蔵村山を始めとした東京市部多摩地区の高齢化は深刻です。

多摩地区は昭和時代23区勤務者のベッドタウンとして、一戸建てがたくさん建ち、バブル期はとんでもなく地価が上りました。
今でもステイタスが高いぶん地価も高額で、若い世代の住宅購入・転入志向も「東京都民にこだわらなくっていっか」と、東武線やJRが網羅された埼玉や千葉に照準が合わせられています。

そうすると、高齢化は益々進み住民は自分自身の介護について切実に考えなくてはならなくなります。
地価の高い多摩地区では、高級老人ホームはともかく割安な老人ホームが新たにできる余地はありません。

多摩地区のシニアに群馬県や茨城県のリーズナブルな老人ホームを案内する機会も多くありますが、「やっぱり都民でいたい」と他県ホームへの移住を断る人が半分くらいいます。
同じ東京都でも、23区の場合は電車一本で他県に行けるのに対し、多摩からだと、一度、東京都内に出なくてはならず2~3県をまたぐ感覚になり、非常に遠く感じるそうです。

そういった高齢者は訪問介護サービス等を駆使して老後を乗り切らなくてはならず、介護サービス事業会社の少ないエリアではセルフケアが基本になります。

終の棲家・最期を自宅で希望する人は高齢者の6割もいるそうですが、認知症がすすみ「在宅困難」になれば、安全面の上でも老人ホームやグループホームといった選択肢を考えざるを得なくなります。

認知症についても、知識と実際の対策を広報しておく必要があるため、今回、都庁の開催した認知症イベントは意義のあるものだったはずです。