福祉用具事故情報と老人ホームの介護ベッド

(参考:読売新聞ー『介護ベッドなど福祉用具の事故情報、年内にもデータベース化』)

記事では、「これから介護ベッドやシニアカー(電動車いす)等の事故情報を国で一元管理する方針」とのこと。
今までこのレベルのことを一元管理してなかったのか…、と介護福祉行政のルーズさに驚きを感じます。

介護ベッドの事故は、死亡に至らない、ニュース報道される程でもない「軽~中度のケガ」であれば頻繁に起きています。

老人ホームでは、電動介護ベッドの動作中に誤って、腕を巻き込んで骨折したり、医療器具パーツを巻き込んで外れて、職員が大慌てで病院に走ったり等、日常茶飯事です。

こういう事故が起こっても、福祉用具レンタル事業者に責任追及が行かないことが多々あります。
それは、自己責任感の強い介護施設側が、入居者を守るのは自分達であって、事故は老人ホーム内の管理体制の責任だと、内省してしまい自分達で責任を取ってしまうためです。

サ高住や住宅型有料老人ホームの入居のさいは、自室のベッドは「入居者が持ち込んで用意」するか「福祉用具レンタル」で借りるか、選択してもらいます。

この時、「介護ベッドは要介護認定がとれていれば介護保険の1割負担ぶんだけ、月数百円で借りれます」と説明します。
そしてベッドのパンフ等を見せて数少ないレンタル業者を紹介し、ベッドのレンタル契約はレンタル業者と入居者本人との直接契約になっています。

なので、事故があっても老人ホーム側が背負わず、レンタル業者にもっと責任追及すればいいのですが、多くの高齢者施設では、人が良いため自社責任にしてしまいます。

そして、ケガの治療費は多くは老人ホームが負担して入居者や家族も仕方ないかと納得してしまうので、行政に報告が行くことは、まずないでしょう。

自宅での在宅介護で介護ベッドの事故があれば、福祉用具レンタル事業者の責任として、ケアマネジャーから自治体に情報が上がるでしょうが、老人ホームでのケガはなかなか情報共有されていないだろうと予測がつきます。

この記事のように、厚労省が今さらながら福祉用具の事故データベースを一元管理するようになるのはいいとして、実際にどれほどの情報が集約できるかは不確実といえます。