( 参考:読売新聞ー『認知症に伴う「暴言」「暴力」などの初の治療薬』 )
記事によると、鬱病や統合失調症の治療に使われてきた大塚製薬のレキサルティという薬を、アルツハイマー型認知症にみられる暴言・暴力行為の症状に対する治療薬として、9月にも承認するとのことです。
暴言・暴力行為は、在宅介護をしている家族にとって「徘徊」につぐ負担です。
また、独居老人の老人ホーム入居においては、暴言・暴力行為のあることが審査するうえで最大の障壁です。
老人ホームに入居者を紹介する場合、かかりつけ医の診療情報提供書とケアマネジャーからのサマリーや行動記録を取り寄せ、それを元に管理者と入居の可否を相談します。
この際、精神科がかかりつけで医師の意見書などに暴言・暴力行為などの記載があると、これだけで、入居許可してくれる高齢者施設は少なくなってしまいます。
暴言・暴力行為はもはや病気、認知症の症状のひとつだということは、老人ホーム側でも理解しています。
認知症で暴言を発する入居者より、施設内でイジメを行うような陰湿な入居者のほうがタチが悪いことは施設職員も理解しています。
でも、直接的に殴るなどの暴力を他の入居者にされると、被害側に申し訳が立ちません。
よって、ほとんどの老人ホームの入居条件に「暴言・暴力行為のないこと」が必須事項になっています。
この薬が広く利用されるようになれば、在宅介護の家族の心理負担も軽減されるし、老人ホームの「暴言・暴力行為のある入居者」に対する忌避も減る可能性があります。
薬に関しては、ムダな大量処方は良くないことですが、認知症による他人への迷惑や本人も止められない頻繁な徘徊行為などを抑えられれば、それで本人も周りも安心・安全な暮らしが得られます。
昨年もアルツハイマーを抑えるレカネマブが承認されましたが、今年はこのレキサルティの承認で助かる家族や患者本人、老人ホーム職員も増えるでしょう。