ハラスメントと老人ホーム入居の念書・覚え書

( 参考:JOINT 介護ニュースー『利用者・家族の介護職へのハラスメントが横行』 )

記事では介護職労組が一般の介護職の人に行ったアンケートで、利用者や家族からのセクハラ・パワハラを受けたことあるか、という調査を行った結果、26.8%が被害ありと答えたと書かれています。
これは控え目な数字。…訪問介護でも施設内介護でも、もっと多くの被害が出ているように感じます。

弊社では、老人ホームに入居者を紹介するさい、入居者との媒介になってくれる病院の医療連携室や地域包括支援センターの相談員さんから「暴言・暴力行為・迷惑行為の有無」をリサーチします。
支援センター相談員さんが訪問介護の担当であり、入居予定者のことを詳しく知っている時は、その人に介護者に対するハラスメントがあるかないかが分かります。

しかし、入居予定者や家族がセンターに飛び込みで「急ぎで老人ホームを探している」と相談にきたばかりだと本人のパーソナルデータが不明です。
そのような「初見さん」が、センターが仲介してくれて弊社に老人ホーム探しのため面談にくると、基礎データが何もないので、その場のリサーチでハラスメント傾向のあるなしを判断しなければなりません。

そういう時の面談時に、本人らが「お客さまは神様」的な尊大な態度であれば、即その場で、老人ホーム探しを断れます。しかし、大方は自分が切羽詰まっているため、殊勝に弱腰な態度です。

こちらは、弱々しい助けるべき人と勘違いしてリサーチが甘くなってしまいます。
そういう入居者を紹介した先の老人ホームにおいて、セクハラ・パワハラが起こってしまうことが多々あります。

その防止のために、入居先の老人ホームにつなぐ前に、入居者らには「別に入居させておく義務はないから、セクハラ・パワハラ・他の入居者への暴言・暴力があれば、ただちに退去させますからね」と話します。
同時にそれらの禁止事項を包括した「念書」「覚え書」を細かく書いてもらいます。

このように老人ホーム入居前に思いつく限りの防御策をとっても、入居すると本性が出てきます。

老人ホームを紹介するさいは、その人にベストだと思える施設を案内しています。
しかし、そのベストなホームで不祥事を起こした場合、【年金受給費が他のホームに移れる余裕額】だったら、別のホーム、例えば〝職員が男性ばかりで部屋が個室じゃなくなるホーム〟等に、本人はイヤイヤながらも移せます。

しかし、予算カツカツでしかも〝経営者の好意で超安く入居させてくれるホーム〟の場合、出ていってもらう先がありません。
ホームにとっては泣く泣く入居し続けられる(居座られる)のを甘受しなければなりません。

そういうことがないよう、老人ホーム紹介前のリサーチは細かくしつこくするようにしています。

他の職員もいる老人ホームといった公開のスペースでさえセクハラは起こるので、加害者の「ホーム」へとひとりで出向かなければいけない訪問介護の場合、この被害の率は、記事に記載されているよりも高いだろうな、というのは容易に想像がつきます。