訪問介護と家事使用人裁判の記事

( 参考:産経新聞ー『家政婦急死は労災と認定 介護と家事で「過重業務」』 )

労働基準法において家政婦は、「家事使用人」として扱われ法の適用外になる存在です。
ここで定義されている家事使用人とは、今ではドラマの中でしかみないような大金持ちの家の「執事」や「召使い」みたいなもの。
つまりその家の家族や家来同然の存在で、給料以外にもメリットがあったり、労働時間もあやふやだったりするので、法律は家庭に立ち入れないと、グレーゾーンだったわけです。

この記事の事件は、

「家政婦兼介護士が寝たきり高齢者の家に一週間連泊し家事と介護を兼任し、激務で急死したものを『家事と介護を別々のもの』と考えれば大した加重労働ではないから労働災害に当たらない、遺族の請求棄却!」

とした地裁判決を、東京高裁で

「家事介護は『一体の労働』で、この過重業務が急性心筋梗塞による死亡の原因だとして、労災の遺族補償などの不支給処分の取り消しを認め、一審判決を違法とし取り消す」

と遺族側の逆転勝訴となる判決がでた、というものです。

これはまだ高裁判決なので、厚生労働省が最高裁に上訴する可能性もゼロではないものの、元々の労基が労災を認めなかったことが言いがかりのようなものだったので、この高裁判決で遺族は肩の荷がおりたような感じになります。

在宅介護をする家庭を支援する訪問介護事業所や介護士にとっては、労働基準法はあまり味方にならない存在だったりしますが、こういう判決が重なれば、少しは労働環境が改善される可能性もあります。