( 参考:週刊ポストー『スーパー、スポーツクラブ、警備会社、身近な企業が展開する健康&介護サービスに記者が迫る!』 )
異業種が運営する介護サービスの特集記事ということですが、記載されている3社のうち、警備会社のALSOKについては以前からある有料老人ホームの紹介記事だし、コナミスポーツクラブがOyZ運動スクールとしてシニアコースを設けたのも目新しいものではありません。
しかし、日本の最大手スーパーイオングループが、イオンの店舗内にあるリハビリ型デイサービス「イオンスマイル」で「買い物支援による機能訓練」をスタートさせたことは新鮮な話題です。
現在では、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の13店舗だけで利用者数も1,700人程度ですが、巨大モールを展開し圧倒的なシェアを持つイオンがその気になれば、介護業界に同じ土俵で太刀打ちできる会社は皆無でしょう。
利用者の立場からしても、週1程度通って、要支援で月2,200円、要介護で月2,800円という破格の安さは嬉しいところです。
デイサービスの名目が「買い物支援で機能訓練を」という加算の付くものですから、イオンスーパーの店舗内のデイサービスにくる利用者にイオンの中で買い物してもらえるというメリットあるビジネスです。
スーパーに買い物客を呼びたいイオンとしては、デイサービスの利用料金は「無料」でも十分に元が取れるはず。
これを〝格安とはいえ一応お金をもらう〟のは、かつて葬儀業界に革命を起こしてくれるはずだった「イオンの葬儀5万円」という消費者にありがたいサービスが、従来通り葬儀で稼ぎ続けたい僧侶仏教団体から政治的圧力がかかってプラン自体を潰されてしまったことで、遠慮のようなものがあるのかも知れません。
今は、「まずデイサービスありき。ちょっと東京近郊の一部店舗で実験的に買い物支援サービスを始めました」というスタンスのようですが、この「買い物デイ」は東京都内や、23区寄りの神奈川・千葉・埼玉等ほぼ都内みたいな大都市圏でなく、地方に行けば行くほどニーズがあります。
イオンスマイルを始めている店舗もそれを見越して、東京都内でも比較的ローカルでシニアの多い江戸川区の西一之江に開いています。埼玉をとっても「若者人気の南越」ではなく「北越谷」、鳩ケ谷・戸田といった高齢世帯の多いところ。
千葉も最近になって大網白里、木更津、館山といった房総半島の先端の年寄りの数に介護施設がついていっていないエリアに開店しているようです。(館山は最近マスコミで人気ですが)
在宅介護の利用者目線で考えるとこんなに割安でお得なサービスは他にないので、ぜひ早く地方展開をしてもらいたいものです。