都民や都会人だった高齢者の田舎暮らし断念

( 参考:ライブドアニュースー『定年後に憧れの〈田舎暮らし〉を実現するも、「1日も早く引っ越したい」切実事情』 )

記事は、預貯金1千万、退職金3千万と横浜市の自宅マンションといった資産があり、2人合わせて月35万円(夫19万円、妻16万円)の年金が入る【68歳夫婦】が、田舎暮らしをしようとマンション売却し、地方に家を買って移住したけど、交通事故を契機に田舎生活が耐え切れなくなり、地方から都会にUターンしてきました、という・・・内容です。

記事内に、田舎暮らしを始めてからの具体的な(地元住民との軋轢とか土地の風習に合わない等)田舎暮らし断念理由が書かれておらず、よく分からない内容でした。

唯一、「まあそうだろうな」という確認をできたのは、以下↓の文言でした。

生活費を下げる目的で都心から地方への移住を希望する人もいますが、移住先によっては、生活費がさほど下がらないケースがあります。〜〜シニア世代では、移動手段の確保、医療や介護へのアクセスの悪さは、QOLの低下につながります。(ライブドアニュースより)

本来はもっと長い文章ですが、要点は上記↑のこの引用部分(省略文)です。

つまり、東京都民が地方へ行っても、場所によっては、なんの「田舎の恩恵」も受けられないし、不便さレベルは東京23区内に暮らしてた人が想像できる限界を超えてるよ、ということです。

昔から田舎暮らしを勧める雑誌等のメディアはよくありました。雑誌媒体はその田舎を細かく取材し、メリットデメリットをくまなく紹介するものでした。
最近は雑誌も読まれなくなり、代わりに所ジョージさんの【ぽつんと一軒家】などの【バラエティ番組】を見て、なんとなくポツンと田舎暮らしして自給自足できたらいいな、と考える人が増えたようです。

しかし、バラエティ番組ですし田舎暮らしを勧める目的ではないから、報じられるのは映える風光明媚な景色や一軒家住民のエモい話に限られ、大変さは報じられません。

そもそも田舎暮らしをしたいと思う対象の「田舎側の人々」が欲しいのは、若い労働力と活気であり、老人夫婦がやってきて「医療環境が悪い、介護サービスがない」と騒いでも迷惑なわけです。

東京都民の方に群馬県や茨城県・栃木県などの割安な老人ホームを紹介している弊社に、【東京都民の子が『親が田舎に越したが介護が必要になったので施設を探している』と相談してくる】ことがあります。

こういった場合、こちらは親のいる田舎にいかず、子に親を車で都内に連れてきてもらい、面談します。
なので、暮らしている田舎の環境を実際見たわけではありませんが、そういう人(田舎暮らし断念し老人ホームに入居する人)と話していると、田舎で人づきあいができず孤立して引きこもっていたんだろうことが想像つきます。

田舎のぽつんと一軒家でも都内の団地やシェアハウスでも、ひとり引きこもっていると、まずは人と会話するのが苦手になり、外に出て人目につくのが怖くなり、増々こもって体力が落ち、秒速で要介護状態なってしまいます。

そうなれば、田舎では介護サービス事業所も少ないし、高度な医療など期待できるわけがないので、東京都内に戻るか老人ホームに入るかしか手立てはなくなります。
冒頭のライブドアニュースの記事には、田舎暮らし断念の理由は書かれていませんが、要はそういうことでしょう。