「ジョーカー2フォリアドゥ」は、ジョーカーが改心したのち殺害される、ナニワ節ストーリーでしたが、このフォリアドゥという状況は介護現場でよく見られます。
フォリアドゥとは、フォリ(folie=英語の『fool(バカ、狂った)』と同)とドゥ(Deux=フランス語の1・2・3(アン・ドゥ・トロワ)の『2』)を合わせ「二人狂い」と表す、感応精神症という統合失調症の妄想性障害を意味します。
社会に隔絶された心理状態にある1人の妄想性障害患者から、彼に献身的・依存的なもう1人(伴侶・親友等)の健常者に被害妄想が伝播する。
二人で狂うので「二人狂い」。媒介人数が増えると、家族狂い、多者狂い、となります。
ジョーカー2はジョーカーとハーレクインの二人狂いが多者狂いとなりゴッサムシティ市民が暴徒になります。
日本でのフォリアドゥは、藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件という、〝 従兄と共謀して夫を殺害・遺体損壊した「妻」は、閉鎖・カルト的な状況で主犯の従兄の感応精神症が伝染し自らも狂った 〟と裁判で評された1987年の事件でした。
老人ホーム案内の現場で、都内の地域包括支援センターや福祉事務所の相談員さんから「虐待案件」として紹介されるケースがあります。
息子から親への暴行が激しく危険で緊急避難先として高齢者施設を探すもの。
息子や娘の多くは、統合失調症の診断を受けて「生活保護や親の年金」で食いながらデイケア(&パチスロ)通いをし、家に帰ると親に暴行するのを日課にする無職です。
(ここでいうデイケアは高齢者向けではなく『精神科クリニック・病院』に併設された施設)
この環境から親を救出する目的の避難的老人ホーム紹介ですが、これら多くの親が客観的に見て「フォリアドゥ」になっています。
瘦せこけた御老体なのにやたらと他虐・攻撃的で、既存の入居者に被害を与えそうな雰囲気。
とはいえ様々な高齢者を受入れる施設側は慣れたもので、他者と接触しない環境を整えてくれます。
こういう案件はひんぱんです。
瀕死で入院した病院からの退院調整で老人ホームを案内したこともあり、この老人も包帯ぐるぐるで車椅子の「被害者」ながらも入居当初は施設職員にやたら噛みついて騒いでいました。
フォリアドゥの元になっている「統合失調症」は、わりと簡単に認定されます。
だから診断後、頑張って社会に向き合いちゃんと働きながら克服している人のほうがだんぜん多い。もともと高学歴・高収入の人は特にです。
しかし、甘んじて一般社会と断絶した「楽」な生活をしてるうち自分可愛さから社会を憎み、ホントの統合失調症・妄想性障害患者になる事例をよくよく見ます。
そういった場合、本人は「介護8050問題」を盾に、「同居親の介護」を免罪符としているため、親は強制的に自分のせいだと感じ、息子に依存・従属する心理状態になります。
これが介護フォリアドゥ(親子狂い)の始まり、に思えます。
コロナと不況感が相まって、こういう介護フォリアドゥ家族への老人ホーム紹介が増加しました。
家庭内事件は行政もなかなか察知しづらいですが、こういう息子・娘を安易に保護せずイヤでも社会に出て働かせることで現実逃避の妄想を起こさせない体制が必要です。
ちなみに老人ホームに入居し、息子や娘の呪縛から解かれたほとんどの親は、数ヶ月で他者と笑顔でコミュニケーションのとれる普通のシニアに戻っています。
これは、フォリアドゥの感染した側を原因者と引きはがすことで正気に戻す方法と理論的に整合しています。