介護施設入居のタイミング

老人ホームなど介護施設への入居のタイミングを、高齢者本人や家族が判断するのは、どこの家庭であってもかなり悩むところです。

在宅介護の限界時点

介護施設への入居年齢で最も多いのは80代と言われます。 これは75歳以上になると認知症をふくんだ要介護状態になるシニアが急増することが要因でしょう。
つまり、70代後半から家族らが在宅介護で関わってきたものの、6~7年も介護をし続ければ、たいてい音を上げたくもなります。
そんな家族介護(在宅介護)の限界時点が、一番多い介護施設への入居のタイミング(判断時期)になります。

しかし、弊社がホームを紹介するケースで多い「独居老人」の場合は、近所の人や地域包括支援センターの相談員さんや、遠方に住むご家族さんの気遣いにより、もっと若い、60代後半から70代前半の方の割合が多いです。

総括すると、家族を含め、周りが「ひとりでは何かと危ないだろう」と感じて、進言してくれた時が老人ホームに入居するベストタイミングだと、受け止めることが本人に良いことだといえます。

認知症らしき兆候の見極め

介護施設への入居を検討するタイミングは、 周り〜介護者が「ひとりでは何かと危ないだろう」と感じて、進言してくれた時と述べました。
これには、診断を受けていようといまいと認知症らしき兆候を周囲が感じ「危なっかしいし在宅は無理だろう」と感じた、その肌感覚を基準にしてもいいでしょう。

上記のとおり、家族が入居を検討し始めるのは、認知症の高齢者本人が70歳台、早ければ60代の時もあります。

認知症の進行は人それぞれです。介護認定調査で要支援でも要介護でもなく「自立」と判定された方も、家族にとっては認知症以外ありえないと思うほど負担になっていることもあります。

東京都内23区の介護認定調査は地方に比べると厳格で、要支援もつかなかったけど、どうみても一人暮らしはヤバいといえる高齢者がたくさんいます。

認知症の診断で、認知症にあらず、と判を押されても、近所の地域包括支援センターさんに相談に行き、老人ホーム入所の準備は整えておきましょう。
それだけでも、家族の心理的負担は相当に軽減されます。

特別養護老人ホーム

老人ホームを探す時、認知症の診断が出ている場合の多くは、特別養護老人ホームつまり特養に入ることを望むご家族は多いです。

特養は重篤な医療行為が必要な人でも入居でき料金も割安なので、入居を希望する人が多いのも当然で、東京23区内の特養はすべて満室かつ待機者が溢れているので、今から申し込んでも死ぬまで「待機」しなければならないかも知れません。
しかし、ダメもとで申し込んでおいてもお金はかからないので、高齢者本人や家族がありったけの特養に申し込んでおいてもかまいません。

ところで実は、特養は要介護3以上の高齢者が入所対象なのが「原則」ですが、認知症の人は要介護2以下でも急迫した事情などがあれば入所できる「特例」があります。
特養に入居申込をするタイミングは、基本は介護認定で要介護3が取れた時ですが、要介護2以下であっても切迫した緊急事態が起こりそうな予兆があれば、それが入居タイミングです。

グループホーム

認知症の高齢者の入居先ホームとして、特養の次に思い浮かべるのは「グループホーム」ではないでしょうか。

グループホームへの入居は、自分が居住している自治体にある施設にしか入れないというハードルがあり、これによりただでさえグループホームの少ない東京23区内では特養と同等に「待機者」で溢れています。

認知症がかなり重度、かつ医療行為が必要でない方には、グループホームはお勧めです。というのは、グループホームは入居者がみな認知症なので職員さん達も対応に慣れていて、認知症プロフェッショナルとして認知症の高齢者に快適な対応をしてくれます。
この点は、認知症患者に慣れていない職員の多い住宅型有料老人ホームやサ高住に入居するより、高齢者本人のメリットが大きいです。

しかし、軽度の認知症の場合、入居したら周りはみんな完全にボケている人間ばかりというショッキングな状態におちいることで、かえって軽度だった認知症がどんどん重度な方へ進行してしまう可能性があります。

軽度の方は、グループホームを選ぶより、住宅型有料老人ホームやケアハウス(軽費老人ホーム)など他の入居者が「要介護でも頭は冴えてる老人」で構成されている施設に入った方が、まともに会話できる仲間ができることで、ボケの進行を遅らせることができるでしょう。

グループホームの多くは入居審査がシステマチックに行われるので、これはタイミングがどうこうではなく、認知症の診断をしっかり受けましょう。